Chapter 332
最終審判に向き合う(続き)
高橋美咲は少し黙ってから、こくりとうなずいた。「うん。」
食事が終わってから話そう——そう思った。
せっかく振り絞った勇気も、今は堰を切った水のように一瞬で消えてしまう。
九条蓮は高橋美咲を御膳庵へ連れて行った。
前回、高橋美咲は柳小路とちょっとしたトラブルを起こしたが、御膳庵のスタッフはすでに彼女を覚えていた。ブラックカード会員だと分かると、すぐに九条蓮とともに丁重に個室へ案内した。
個室で、九条蓮は高橋美咲のために椅子を引いてくれた。
今日の九条蓮はシンプルな白シャツ姿で、それが高橋美咲が買ったものだと今さら気づく。
二人は向かい合って席に着いた。
襟元のボタンが2つ外されていて、きれいな鎖骨がのぞいている。どこか気だるげでラフな雰囲気があり、服を試着したときと同じくらい格好良くて、思わず見とれてしまう。
自分の服選びのセンスがいいのか、それとも九条蓮の容姿が良すぎるのか、しばし分からなくなる。
その後しばらく、九条蓮は何も話さず、高橋美咲の不安な心も少しずつ落ち着いてきた。
気がかりなことがあるせいで食欲がなく、前回おいしいと感じた料理も、今日はほんの数口しか食べられなかった。
九条蓮が彼女に目を向けて言った。「美咲。」
九条蓮の低くて魅力的な声を聞いた瞬間、高橋美咲は本能的に体を強張らせ、全身が警戒態勢に入った。
「な、なに?」
九条蓮は、高橋美咲の様子が以前自分が持ちかけた交際の提案のせいだと察していた。彼女は落ち着かず、不安を感じているのだろう。
彼の視線が一層深くなる。「考えてくれた?」
「あの……」
高橋美咲は、どうやって九条蓮に切り出すべきか心の中で考えていた。
長い間ためらった末、高橋美咲はついに勇気を振り絞って言った。「九条蓮、どうしても伝えたい大事なことがあるの。」
高橋美咲が激しく葛藤している様子を前に、九条蓮はむしろ余裕を見せていた。彼はポットを手に取り、彼女にお茶を注ぎながら、ゆっくり話を聞くつもりだという態度を見せた。
「えっと、その……私……」
高橋美咲の顔は真っ赤になった。言葉が喉まで出かかっているのに、どうしても口にできない。実は怖かったのだ。
九条蓮が怒るのを見るのが怖い、彼の目に嫌悪が浮かぶのが怖い。
ここ数日見た夢があまりにもリアルで、目が覚めるたびに残るのは果てしない憂鬱だけだった。
九条蓮の瞳がわずかに陰り、影が差した。
高橋美咲は何も言わなくても、彼女がためらっていること、あるいは自分の交際の申し出を受け入れたくないのだと、九条蓮にはもう分かっていた。
だが、どんな理由があろうと、彼はもう高橋美咲しかいないと決めていた。
その時、高橋美咲はついに言葉を絞り出した。「やっぱり私たち、付き合うのは向いてないと思う!」
そう言い終えた瞬間、胸が張り裂けそうなほど苦しくなった。九条蓮の顔をもう一度見る勇気もなく、できることなら穴を掘って埋まりたい気分だった。
高橋美咲が何か大切なものを諦めるような、打ちひしがれた表情を見て、九条蓮は怒ることはなかった。
彼は優しく言った。「新商品の発表会が近くて仕事が忙しいから、恋愛が仕事に影響するのが嫌なんだろう?」
「……」その言い訳は妙に理にかなっていた。
ああ!違う、待って!
高橋美咲は小さく咳払いして言った。「違うの、私……」
でも、言葉が喉まで出てもやっぱり言えなかった。高橋美咲は額に手を当て、全身がしんどくなった。
どうしても言えない!
九条蓮は重い視線で高橋美咲を見つめ、こう言った。「それが心配なら、交際は秘密にしてもいい。」
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