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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 258 - 九条蓮の女(続き)

Chapter 258

九条蓮の女(続き)

「美咲!!今、代官山パークレジデンスにいるの?」

「うん。どうかした?」高橋美咲は答えた。

「あの……今、翔と一緒にいる?二人ってもう……」九条凛の声は途切れ途切れで、まるで早足で歩いているようだった。

高橋美咲は、どうして九条凛がこんなに情報通なのか不思議に思っていたが、その時、突然マンションのドアが開いた。

玄関には、九条蓮の高く凛とした姿が現れた。

彼の鋭い視線が部屋中を一瞬で見渡し、高橋美咲と相沢翔にぴたりと止まった。その顔はさらに険しくなった。

少し遅れて九条凛も後ろから到着した。中の二人がきちんと服を着ているのを見て、絶望的だった表情が少し和らいだ。

本当に、もし突入したときに見てはいけない場面だったらどうしようかと、心底怖かったのだ。

もし兄がその場で暴走したら……。

幸い、高橋美咲と相沢翔はただ食事をしていただけで、何もやましいことはしていなかった。

さっきは少し罪悪感もあって、九条蓮が来る前に高橋美咲に警告して相沢翔を隠そうと思ったのだが、話し終わる前に九条蓮がすでに現場に到着してしまった。

高橋美咲は、九条蓮と九条凛が立て続けに現れたのを見て、困惑した表情を浮かべた。

九条蓮は残業中じゃなかったの?どうして九条凛と一緒に戻ってきたの?

高橋美咲の視線が九条蓮の険しい顔に触れたとき、彼女は少し眉をひそめた。

九条蓮はかなり機嫌が悪そうだ。もしかして、残業中に上司に叱られたのだろうか。

相沢翔は本来、九条蓮にコラボの件を聞きたかったが、彼の様子を見て、最近色々と忙しすぎて参っているのだろうと察し、すでに気分が沈んでいる相手に無理に話を切り出すのはやめておこうと思った。

自分が戻ってきた今こそ、高橋美咲と二人だけの世界を楽しむ時間だ。

他のことはまた今度にしよう。

そう考えた相沢翔は立ち上がり、「あ、思い出した。まだ片付けなきゃいけないことがあったんだ。二人の邪魔はしないよ。先に帰るね」と言った。

高橋美咲は驚いて「もう帰っちゃうの?もう少しゆっくりしていけば?さっき来たばかりだし、ご飯もまだ食べてないでしょ」と声をかけた。

高橋美咲の言葉を聞いた九条蓮の表情はさらに曇り、整った顔が一層険しくなった。

そんなに相沢翔に帰ってほしくなかったのか?

相沢翔は帰る前に、高橋美咲にだけ分かる合図をしてから、部屋を出ていった。

あっという間に、高橋美咲、九条蓮、九条凛の三人だけが部屋に残された。

なぜか高橋美咲は空気が少し重く感じた。九条蓮も九条凛も、どこか表情が硬い。そこで彼女は雰囲気を和らげようとした。

高橋美咲は九条凛に向かって「凛ちゃん、今日は何か用があって来たの?あ、そうだ、さっき電話で何か言いかけてたよね?よく聞こえなかったんだけど」と尋ねた。

九条凛は九条蓮の視線が自分にサッと向けられるのを感じて、思わず身震いした。

高橋美咲がそう聞いたことで、九条蓮に自分が美咲に情報を流していたことがバレバレじゃないか!

自分は兄の小さなスパイなのに、他の人の味方なんてできるわけがない。

九条凛は気まずそうに笑い、「ううん、何でもないよ。たまたま近くを通ったから、ちょっと挨拶しに来ただけ。もう挨拶もしたし、帰るね。バイバイ!」と言った。

そう言うと、九条凛はすぐにその場を離れた。

本当は九条蓮と高橋美咲の間に何が起きるのか気になって仕方なかったが、相沢翔も帰ってしまった今、ここに居続けるのはさすがに気まずい。

ついに部屋には高橋美咲と九条蓮だけが残った。

高橋美咲はしばらく黙っていたが、やがて九条蓮を見て「もうご飯食べた?」と尋ねた。

九条蓮の声は冷たく、硬かった。「まだだ」