Chapter 252
長年連れ添った夫婦のような気持ち
高橋美咲は気を取り直し、軽く咳払いして言った。「九条蓮、分かってると思うけど、あの女の子がまだ友達に惹かれていないうちにいきなりキスしても、そんなに効果はないよ。せいぜい10%ってところかな。」
九条蓮は口元をわずかに上げた。残りは85%か……。
あの日以来、高橋美咲は毎朝起きた瞬間から微笑みを浮かべ、まるで恋に落ちたかのようだった。
この二日間、九条蓮は本当に理想的な彼氏のように優しかった。
メッセージを送れば即返信があり、毎日違う方法で何かを贈ってくれる。
メゾン・ヴェルヌでも、彼女が恋をしているのではと噂する声がひそかに広がっていたが、高橋美咲は気にしなかった。
今日もまた同じ市内からの宅配便が届いた。
みんなが興味津々で集まり、今度は何が届いたのかと話し合いながら箱を囲んだ。
今回は大きな保温ボックスに入ったアフタヌーンティーだった。有名ブランドのスイーツやアイスクリームなど、女の子が好きなものばかり。みんな羨ましそうな目で見ていた。
高橋美咲は、まるで九条蓮の背後にプロのアドバイザーでもいるのではと疑った。
毎日予想外のものを贈ってくるなんて、普通の人には思いつかない。どこからそんなアイデアが湧いてくるのだろう。
量も多かったので、高橋美咲は気前よくみんなに分けた。「一人じゃ食べきれないから、みんなで食べよう。遠慮しないでね。」
「わあ、高橋取締役って本当に太っ腹!じゃあ遠慮なくいただきます。」
「ありがとうございます、高橋取締役。私たちまで幸せのお裾分けですね。」
みんなが一斉に集まってスイーツを分け合った。高橋美咲はジュースのボトルを一本手に取り、自分の席に戻った。
あの日の御膳庵で柳小路は高橋美咲に完膚なきまでにやり込められ、彼女への恨みはさらに深まっていた。今また高橋美咲が目立つ行動をしているのを見て、柳小路の顔は曇り、歯ぎしりしそうなほどだった。
柳小路の目に一瞬、陰りが走った。
今は高橋美咲に好きなだけ得意げにさせておけばいい。最近は九条社長が自分にずいぶん優しくなり、会話も増えてきた。
九条社長を落としたら、高橋美咲なんて踏みつけてやる!
高橋美咲が席に戻ると、アシスタントの森川茉莉がみんなの質問攻めにあっていた。誰がこんなに豪華に高橋美咲を口説いているのか、興味津々で森川茉莉を引き寄せてはあれこれ聞いていた。
「森川茉莉、早く教えてよ——高橋取締役の相手って誰なの?」
「そうそう、私たちの好奇心を満たしてよ。」
「高橋取締役の相手って本当に謎よね。はぁ……どうして私の周りには、あんなにアイデア豊富な男性が現れないのかしら?」
みんなが一斉に騒ぎ立てるのを聞きながら、森川茉莉は困ったような顔をして「本当に知らないの。だから勝手に想像しないで」と言った。
「じゃあ、本人に聞いてきてよ。茉莉だって気にならない?」と、さらに誰かがけしかける。
もし相手が他の人だったら、森川茉莉もなかなか聞けなかったかもしれない。でも高橋美咲なら違う——彼女は穏やかな性格だし、一度くらい聞いても怒られないはず。
結局、みんなの熱い期待を背負って、森川茉莉はそっと高橋美咲のデスクへ向かった。
「高橋取締役……」と、気まずそうに微笑む。
高橋美咲は手を止めて顔を上げた。「どうしたの?」
「みんな……美咲さんのことがすごく気になってて、私が代表で聞きに来たんです。ちょっとだけ聞いてもいいですか?」と森川茉莉は小声で、不安げに言った。
最近の高橋美咲は機嫌が良かったので、森川茉莉の言葉も気にせず、にこやかに「いいよ、何でも聞いて」と答えた。
森川茉莉の目が輝き、立て続けに質問した。「高橋取締役、毎日すごくご機嫌だし、プレゼントももらってるみたいですよね——しかも毎回違うもの。誰かにアプローチされてるんですか?」
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