Chapter 248
比べ物にならない格差(続き)
柳小路の言葉に、スタッフの顔に一瞬ためらいが浮かんだ。もし本物だったら、このお客様を怒らせてしまうかもしれない。どうしたらいいか迷ってしまった。
柳小路はしつこくスタッフにカードの確認を迫った。
どちらも御膳庵の会員だが、高橋美咲のブラックカードは格上、相手もゴールドカードを持っている。
スタッフの困った表情を見て、高橋美咲は「読み取って」と言った。
あっさりとした態度にスタッフは感謝の表情を浮かべた。
スタッフは高橋美咲のカードを機械に通した。すると、ブラックカードの会員番号とポイントが画面に表示された。その膨大なポイント数は目もくらむほど。本物の御膳庵ブラックカードだった。
スタッフはほっと息をつき、柳小路に「こちらのお客様のカードは本物です」と伝えた。
そして高橋美咲を御膳庵の中へ案内した。
柳小路と吉田依織は呆然とその場に立ち尽くした。まさか高橋美咲が本当に御膳庵のブラックカードを持っているとは。どこで手に入れたのか?
すぐに柳小路は高橋美咲の現状を思い出し、徐々に納得したようだった。
悔しそうに歯ぎしりしながら、「高橋美咲は男を手玉に取って、何人も渡り歩いてるんだ。あのブラックカードも、どうせ誰か男に貢がせたんでしょ。どうせそのうち自滅するわ!」
今日のことは絶対に忘れない。
将来、自分が九条社長の女になったら、高橋美咲なんて徹底的に踏みつぶしてやる!
……
中に入った高橋美咲は、九条蓮に個室の名前をメッセージで送った。
入口で少し嫌な思いをしたせいか、御膳庵からは食前の前菜がいくつもサービスで運ばれてきた。高橋美咲は御膳庵に好印象を持った。
2分後、九条蓮が個室に入ってきた。
高橋美咲が大人しく待っているのを見て、「先に注文しなかったのか?」と尋ねた。
「あの……何が好きか分からなくて。」高橋美咲はそう言って、気まずそうな表情を浮かべた。
まだ九条蓮の好みをよく知らないことに気づいた。普段自分が作るものは、九条蓮は何でも残さず食べてくれる。ピーマンが苦手なのを偶然知った以外、嫌いなものはなさそうだった。
「君が頼むものなら、何でも好きだよ。」九条蓮はゆっくりと言った。
「……」その言葉は、ちょっと誤解しそうになる。
ちょうどその時、個室のドアがノックされ、スタッフが皿を運んできた。「こちら、カップル限定のフルーツ盛り合わせでございます。」
高橋美咲は驚いて目をやると、目の前のフルーツ盛りは、ハート型にカットされたスイカが山のように積まれ、他のフルーツで彩られていた。とても可愛らしく美しい。
でも、問題はそこじゃない。スタッフは今なんて言った?
カップル限定のフルーツ盛り合わせ?
まだカップルじゃないはず、少なくとも今は……
でも九条蓮は何も説明せず、スタッフもすでに出て行った。
九条蓮の彼女?高橋美咲はこっそり彼の方を見て、口元に小さな笑みを浮かべ、この素敵な関係を嬉しそうに受け入れた。
やがて料理が運ばれてきた。
高橋美咲が御膳庵の料理を食べたのは、前に持ち帰りで自分の部屋に持って帰ったとき以来だった。そのとき、九条蓮が女の子と一緒に食事に来ているのを見て、二人の関係を誤解してしまった。
その後、九条蓮はすぐに出張に行ってしまい、高橋美咲は一人でその料理を食べた。味気なく感じて、特に何も感じなかった。
でも、今は気分が違うせいか、どれも格別に美味しく感じられた。
食事をしながら、高橋美咲はこっそり九条蓮の様子を観察した。前に一緒にザリガニを食べたときよりも、ずっと食欲があるように見えた。
そのとき、九条蓮がふと顔を上げて高橋美咲を見た。
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