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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 240 - いずれ高橋美咲の座を奪う日が来る

Chapter 240

いずれ高橋美咲の座を奪う日が来る

柳小路は心からの笑顔を浮かべていた。まるで下心など一切なく、ただ仕事の話をしたいだけのように見える。

水城圭介は少し考えた末、最終的に承諾した。

彼はスマートフォンを取り出し、柳小路に自分のWhatsAppを追加させた。

だが、さきほど高橋美咲と鉢合わせたことで、自分には九条社長というもう一つの顔があることを思い出した。もしもアシスタントとしての身分がバレたら困るので、仕事用のアカウントではなく、プライベートのアカウントで柳小路を追加した。

水城圭介が去った後、柳小路の顔に得意げな笑みが浮かんだ。

こんなにうまくいくなんて思ってもみなかった。まさか九条社長に偶然会えて、しかもプライベートの連絡先まで手に入るなんて。これは成功への第一歩だ。

これからは他の口実を使って九条社長に近づいていけばいい。連絡先さえ手に入れたのだから、少しずつでも必ず彼を落とせるはず!

九条インターナショナルの近くにあるファストフード店の中。

高橋美咲はぼんやりとスマートフォンを見つめていた。少し前、九条蓮にメッセージを送り、日常の出来事を話したくて連絡したのだ。

ところが、いくら待っても九条蓮から返事はなかった。

思わず少し落ち込んでしまう。

はあ……。普段ならすぐに返信が来るのに。九条蓮は忙しいのだろうか?何をしているのだろう?

高橋美咲は味もよく分からないまま昼食を終え、メゾン・ヴェルヌに戻った。すると、そこには人だかりができていて、興奮した声が絶えず響いていた。

「わあ、柳小路さんも花束もらったんだって。うらやましい~。ねえ、本当のこと教えてよ。彼氏から?」

「そうそう、あんな大きなバラの花束、絶対高かったよね?もう、独り身にはつらすぎる……。」

「いいなあ。うちの彼氏なんてケチでさ、花をくれてもせいぜい90本だよ。ほんとケチ!」

みんなの賞賛の中で、柳小路は少し照れたように「もう、そんなに聞かないで。まだ知り合ったばかりだし、ちゃんと付き合うことになったらみんなに報告するから」と小さく抗議した。

すぐに周囲から「じゃあその時は絶対ご馳走してよ!」と歓声と冷やかしが飛ぶ。

高橋美咲は柳小路と特に親しいわけでもなく、わざわざ輪に加わる気もなかったので、気のない様子で自分の席に戻って座った。

高橋美咲の背中を見送りながら、柳小路の目には冷たい光が宿る。

いずれ必ず、高橋美咲の座を奪ってみせる——!

柳小路は何も言わず、誰が自分に花を贈ったのかも明かさなかったが、周囲は好奇心からしつこく質問を続けた。

結局、みんなが得た情報は……柳小路の想い人も九条インターナショナルに勤めていて、地位がとても高く、しかもすごく魅力的だということだった。

夕方近く、退勤直前になってようやく高橋美咲はスマートフォンを手に取る余裕ができた。

九条蓮とのメッセージ画面は、昼に送った「お昼は何を食べたの?」という一言で止まったままだ。九条蓮からはまったく返信がない。

本当に今日はそんなに忙しくて、スマートフォンを見る暇もないのだろうか?

今、九条蓮は何をしているのだろう?

その時、高橋美咲のアシスタントである森川茉莉が近づいてきて、声をひそめて「高橋取締役、秘密を知っちゃいました。聞きたいですか?」と意味深に尋ねた。

今日、高橋美咲が森川茉莉を助けてくれたことで、森川茉莉は彼女に対する見方が変わった。高橋美咲は義理堅く、部下を守る人で、本当にいい人だと感じている。

だからこそ、面白い噂話を仕入れたら、ぜひ高橋美咲に教えたくなったのだ。

高橋美咲は我に返り、森川茉莉を見て「どんな秘密?」と尋ねる。

森川茉莉は高橋美咲の耳元に顔を寄せて、そっとささやいた。「今日、柳小路さんに花を贈ったの、誰だか知ってます?……九条インターナショナルの九条社長らしいですよ!」