Chapter 229
考えすぎだったのか?
これでケンカしてないって?顔に「高橋美咲とケンカして最悪な気分」って書いてあるようなものじゃん。
九条蓮の性格はよく知っている。超がつくほど無口で、何を聞いても絶対に口を割らないタイプだ。
となれば、残る手は一つだけ……
そう思った九条凛は、そっと部屋を出て高橋美咲に電話をかけた。
……
その頃、高橋美咲はちょうどシャワーを終えたところだった。
さっき部屋を出たら、九条蓮が本当にいなくなっているのに気づいた。メッセージを送ったが返事はなく、仕方なく寝る準備をしていた。
まさかベッドに横になった途端、九条凛から電話がかかってくるとは思わなかった。
九条凛は開口一番、「美咲、九条蓮とケンカした?」と聞いてきた。
「してないよ。」高橋美咲は一瞬間を置いてから、「まあ、ケンカと言えばケンカかな。私が悪いことしちゃった」と付け加えた。
その頃、電話の向こうの九条凛は、ほとんど血を吐きそうになっていた。
「うそでしょ!」と何度も叫びそうになった。
ようやくパニックを抑え込み、慌てて「な、なにしたの?」と問い詰めた。
まさか高橋美咲と相沢翔、昔の白月光が再燃して、甘々な雰囲気でそのままベッドイン……!?
うそでしょ!?
そんな可能性を考えた瞬間、九条凛は世界が終わったような気分になった。
しばらくして、やっとの思いで「まさか……相沢翔とヤバいことしたんじゃ……」と聞いた。
高橋美咲は困惑して眉をひそめた。相沢翔とヤバいことって、どういう意味?
考えすぎじゃない?
九条凛が感情的になって、つい変な言い方をしただけかもしれない。でも実際は、相沢翔とこっそり九条蓮へのサプライズを仕込んでいたのだ。
ただ、そのサプライズはどうも上手くいかなかった。
高橋美咲は大きくため息をついて、「相沢翔と一緒に九条蓮にサプライズを仕掛けたんだけど、思ったようにはいかなかった」と言った。
九条凛「……!!!」
今、何て言った?サプライズ?それがサプライズ?それ、心臓止まるやつじゃん!
一瞬で、九条凛は雷に五回打たれたような衝撃を受け、完全に崩壊した。
高橋美咲には、電話の向こうで九条凛の脳がフリーズしていることなど知る由もなく、ただ鋭い息を呑む音だけが聞こえた。
高橋美咲は続けた。「今、彼怒って出て行っちゃって、どこにいるか分からない。さっきメッセージ送ったけど返事もないし。」
話し終えても、九条凛はしばらく何も言わなかった。
高橋美咲は電波が悪いのかと思い、不思議そうに「凛、まだいる?どうしたの?」と尋ねた。
しばらくして、九条凛はやっと弱々しくため息をついた。「ううう……全部終わった、全部消えた!!」
甥っ子も、義姉も、一晩で全部泡になった。
「何が消えたの?」高橋美咲は、今夜は九条凛と全然話が噛み合わない気がして、何を言っているのかさっぱり分からなかった。
高橋美咲が困惑しきる前に、九条凛は真剣な声で「美咲、親友として、せめて幸せを祈るしかできない。お幸せに!」と言った。
無理やり結ばれても幸せにはなれない。兄と高橋美咲は縁がなかったのだ。
九条凛はしょんぼりと「兄さん、失恋したから、今夜は一緒に泥酔する!」と宣言した。
高橋美咲は困惑したように目を細めた。
九条凛のお兄さんが振られた?
あの九条社長?彼女がいたの?今までいなかったはずだけど。以前、九条蓮に彼のふりを頼む前にちゃんと確認したし、九条凛も「いない」って言ってた。
ふと、高橋美咲はある可能性を思いついた。
もしかして、九条社長が振られて、それで九条蓮を呼び出して慰めてもらってるの?だって九条蓮は九条社長の秘書だし、そういう仕事って呼ばれたらすぐ駆けつけるものじゃない?
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