Chapter 22
どうやらあなたたちの方が怒ってるみたいね
「悠真、行きましょう。」
二人は腕を組んで去っていき、その顔には傲慢さが溢れていた。
高橋美咲は自分の席に戻り、腰を下ろして食事を続けた。
その時、突然スマホが鳴った。画面を見ると、九条凛からのメッセージだった。
「美咲!いいニュースがあるの。」
「どんなニュース?」
九条凛のゴシップ好きな一面が炸裂し、手に入れたばかりの裏話を美咲に語り始めた。
なんと九条悠真にはモデルの愛人がいたらしい。少し前、その女性が悠真の元に現れたが、九条沙耶香が金で解決し追い払ったという。桜井奈緒もこのことは知らなかった。
それを聞いた美咲は、嫌悪感と同時にどこかホッとした気持ちも覚えた。
「ふふ、そのモデルの連絡先も手に入れたし、ちょっとお小遣いを渡して、悠真の会社の前で大騒ぎしてもらうよう頼んじゃった。これであのクズ男がどんな奴か、みんなにバレるし、あの二人も徹底的に気分悪くなるはずよ。」
九条悠真が裏で女遊びの達人だったことを思い出し、美咲の中に残っていたわずかな好意も完全に消え去った。
「凛、ありがとう。」
「親友でしょ。あのクズ悠真は甥っ子だけど、今日をもって一方的に縁切り宣言するわ!」
九条凛からのメッセージを見て、美咲は口元を少し緩め、気分が晴れやかになった。
九条ホールディングス社長室。
九条蓮は美咲が持たせてくれたお弁当を食べていた。最初は見下していたが、今は普段頼む出前よりずっと美味しいと感じていた。
美咲への印象が少し良くなった。
その時、ドアがノックされ、真壁直人が慌てて入ってきた。
九条蓮が顔を上げる。「何かあったのか?」
「社長、甥の九条悠真がトラブルを起こしました。彼が……」真壁は言い淀み、どうも言いにくそうだった。
九条悠真の名前を聞いた九条蓮は、美咲との関係をすぐに思い浮かべた。
眉間に深い皺を寄せ、低い声で「何があったんだ?」と問う。
九条蓮の威圧感に押され、真壁はもう隠しきれなかった。
「実は……先ほど悠真さんの愛人が会社の下に現れて、「子どもの責任を取ってくれなきゃ一緒に死ぬ」と騒ぎ出しまして。かなりの人が見に集まってます……」
九条蓮の顔色が一瞬で険しくなった。
美咲は一体何を考えているんだ?
こんな騒ぎを起こしても何も解決しないし、むしろ自分の立場を悪くするだけだ!
唇を固く結び、立ち上がると足早に外へ向かった。
美咲は本来、明日九条インターナショナルに来る予定だったが、今日は凛が面白い舞台を用意してくれたので、当然自分の目で見に行くことにした。
九条インターナショナルに到着すると、悠真の愛人が突然飛び出してきて、まるで狂ったように悠真と桜井奈緒に襲いかかった。
その女は悠真の顔に二本の血の跡を残し、桜井奈緒の髪も鳥の巣のようにぐちゃぐちゃにされていた。二人とも見るも無残な姿だった。
美咲は思わず吹き出しそうになった。まさに自業自得だ。
三人は九条インターナショナルの前で揉み合いになっていた。
悠真は険しい顔で怒鳴った。「今すぐ出て行け!離せ!」
「嫌よ……あなたの子どもがいるのに、こんな風に私たちを捨てるなんて人間なの?もう行くところもないのに、ううう……」
悠真の表情はさらに暗くなった。たった一度だけ関係を持った女なのに妊娠したと言い張る。お腹の子が本当に自分の子かどうかも分からない。
以前この女が訪ねてきた時は九条沙耶香が金で解決したはずだったが、またこうして大騒ぎしに戻ってきた。欲深さにもほどがある。
ちょうど昼休みで、九条インターナショナルの社員たちも多く外に出ていた。三人が揉み合う様子に、皆が足を止めて指をさしながら噂していた。
警備員たちも悠真だと気づき、慌てて駆け寄った。「九条マネージャー。」
「この女を今すぐ連れ出せ!」
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