Chapter 210
まさかの「出て行け」宣言
「高橋美咲!今なんて言ったの!」高橋美咲の図太い態度に、桜井奈緒は怒りで目が今にも火を噴きそうだった。
なんて厚かましい女なの!
自分に出て行けなんて、何様のつもり!?
柳小路は桜井奈緒のすぐ隣に座っていた。目を動かしながら、桜井奈緒の耳元で小声で囁いた。「桜井部長、高橋美咲、デザイナー募集してるの知って応募しに来たんじゃないですか?」
桜井奈緒の目が鋭くなり、柳小路の言葉に同意した。
ネットの荒らしを使って高橋美咲のスタジオを潰したのだから、行き場を失った高橋美咲が九条インターナショナルに夢を見て来てもおかしくはない。
馬鹿げてる!
高橋美咲は自分の立場をよく考えるべきだ。よくもまあ、応募しに来るなんて図々しい。九条インターナショナルがそんな簡単に入れる場所だとでも?
そう考えた桜井奈緒はすぐに鼻で笑った。「九条インターナショナルの採用基準はとても高いの。学歴だけじゃなく、豊富な実務経験も必要よ。もう帰りなさい。」
たとえ募集していたとしても、高橋美咲に入る資格なんてない!
桜井奈緒は高橋美咲を見下すような目で、勝ち誇った表情を浮かべていた。
桜井奈緒の小さくて得意げな顔を見て、高橋美咲は思わず笑ってしまった。
自分の過去をあまりにも隠しすぎていたせいで、桜井奈緒は自分がかつて皇彩堂アカデミーで学んでいたことを知らないのだ。だから、こんな馬鹿なことを言うのも無理はない。
皇彩堂アカデミーは業界トップの学校で、その分野での認知度も非常に高い。
もしその学校の卒業生ですら採用されないなら、他の学校の卒業生なんてもっと無理だろう。
高橋美咲は淡く微笑み、意味ありげに桜井奈緒を見ながら「私が資格ないなら、あなたなんて九条インターナショナルにいる資格もっとないんじゃない?」と口にした。
その言葉に、桜井奈緒の顔色が一気に曇った。
その表情の変化を見て、高橋美咲はますます気分が良くなり、唇の笑みを深めてゆっくりと言った。「確か、あなた昔成績悪かったし、その後も勉強続けてなかったよね。他人の学歴をバカにする資格、どこにあるのかしら。」
「高橋美咲、あんた……!」
桜井奈緒の表情は極限まで険しくなり、怒りで体が震えていた。
昔、本当に成績が悪くて、その後も学歴を積んでいなかったから、以前真壁直人にその理由でクビにされかけたこともある。
今、高橋美咲にそれを持ち出されてバカにされたら、ここにいるデザイナーたちの前で築き上げた上品なイメージが台無しだ。
「残念だけど……あなた、がっかりするかも。私、皇彩堂アカデミー卒業だから、一応“資格”はあると思うけど?」
高橋美咲がそう言うと、会議室の他のデザイナーたちは目を見開いた。
皇彩堂アカデミー!
デザイナーなら誰もが憧れる専門学校だ。皇彩堂アカデミーの卒業生は、新卒でも高給で引っ張りだこになる。
高橋美咲が皇彩堂アカデミーの卒業生だったなんて?
桜井奈緒ももちろん皇彩堂アカデミーの評判は知っていた。高橋美咲が卒業生だと聞いて、疑わしげに目を細めた。
「疑う必要はないわ。わざわざ皇彩堂アカデミー卒なんて嘘つくほど暇じゃないし。毎年数人しか入れないから、すぐバレるもの。」
桜井奈緒の表情は何度も変わり、しばらく何も言えなかった。
九条悠真は高橋美咲を驚いたように見つめていた。そんな経歴があるとは思っていなかった。桜井奈緒と比べても、はるかに格上だ。
もし高橋美咲と桜井奈緒の立場が逆だったら――桜井奈緒が高橋美咲の学歴と才能を持ち、高橋美咲が桜井奈緒の家柄だったら、完璧だったのに。
桜井奈緒は表情を変え、暗い目で「それでも、うちのブランドはもう採用してないから、帰って!」と言い放った。
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