Chapter 187
一緒に寝ない?
そう言ってからベッドを降り、九条蓮にベッドを譲ろうとした。
九条蓮は少し眉をひそめ、「ふざけるな。君は患者だ」と言った。
高橋美咲は両手を広げて困ったように言った。「もう元気だよ。熱も下がったし、もう患者じゃない。今一番休まなきゃいけないのは、むしろ九条蓮の方だと思う。」
本当に元気だと証明するために、その場で二度ぴょんぴょん跳ねてみせた。
九条蓮は鼻梁をつまみ、「横になってろ。俺も隣で休む」と言った。
高橋美咲はベッドの横にある小さな椅子を見て、内心で反対の気持ちが湧いた。あんな小さな椅子じゃ、九条蓮の体格では絶対にゆっくり眠れない。
九条蓮がベッドを譲りたくないのは明らかだった。
高橋美咲は目を動かし、ふと思いついた。ベッドに戻って端まで寄り、ぎりぎりのところで止まった。
そして空いたスペースをぽんぽんと叩き、「一緒に寝るのはどう?」と言った。
九条蓮は静かに立ち尽くし、目の前の小さなスペースに視線を落とした。
病院のベッドは決して大きくはない。二人で寝るにはやや窮屈だったが、高橋美咲が一緒に寝ようと誘ってくれたのだから、断る理由はなかった。
九条蓮はあまり迷うことなく、ベッドに横になった。
彼は背が高く脚も長いので、横になるとベッドはさらに狭く感じられた。高橋美咲はできるだけスペースを空けようと体を横向きにして、落ちないようにシーツをしっかり握っていた。
九条蓮はふと目を伏せ、高橋美咲をそっと腕の中に引き寄せた。
一瞬で、彼女は彼の胸元にぴったりと抱きしめられた。
夜中に九条蓮が寝ぼけている時以外、こんなに密着したことはなかった。二人とも意識がはっきりしている状態で、これほどまでに近づいたのは初めてだった。
高橋美咲の心臓が大きく跳ね、頬にほんのり赤みが差した。
頭の上をかすめる熱い吐息が感じられる。九条蓮の顔がすぐ近くにあるのは想像に難くない。顔を上げれば、きっと彼の表情が見えるだろう。
だから高橋美咲は顔を上げることができず、彼の鎖骨にそっと頬を寄せた。
部屋の中はとても静かで、二人の呼吸音だけが響いていた。
九条蓮の喉仏が上下し、目が一瞬で暗くなる。自分は間違った選択をしたのではないかと感じた。こんな状況で、どうやって眠れるというのか。
だが、実際には少し疲れていたので、すぐに頭の中の雑念を押し込めて目を閉じた。
しばらくすると、高橋美咲は九条蓮の呼吸が浅く静かになっていくのを感じた。きっと眠ってしまったのだろう。
彼女はこっそり目を上げてみた。
九条蓮の整った顔がすぐ頭上にあった。目をしっかり閉じ、長く濃いまつげが印象的だ。思わず手を伸ばして彼の顔に触れ、胸の奥にかすかな痛みが広がった。
夜明け前、九条蓮が目を覚ました。
その間ずっと、高橋美咲は彼にもたれたまま、ほとんど動くこともできなかった。ベッドが狭すぎて、二人とも寝返りすら打てない状態だった。
目を開けると、九条蓮の視線はすぐに冴え、高橋美咲をそっと離して起き上がった。
何かを思い出したように、高橋美咲が口を開いた。「九条蓮、もう少しここにいたいの。あなたは先に帰ったら?ここじゃゆっくり休めないし、疲れが溜まっちゃうよ。」
彼女はわざと残ることを選んだ。あの看護師を見張って、何か弱みを探したかったのだ。
高橋美咲が自分から病院に残ると言い出したことに、九条蓮は驚いた表情を見せた。反対する気はなかったが、少し不思議そうだった。
それでも、「君がいたいなら、いればいい。毎日会いに来るよ」と答えた。
最近、九条蓮は九条インターナショナルの近くに新しいマンションを手配していた。高橋美咲を今までの住まいから引っ越させるつもりだった。
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