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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 186 - 桜井奈緒は妊娠していなかった(続き)

Chapter 186

桜井奈緒は妊娠していなかった(続き)

すぐに「まあ、この病院は東京で一番評判がいいし、VIPの環境も最高だから、桜井奈緒がここにいるのも全然不思議じゃないよ。どうせ会うこともないし、気にしないで!」と続けた。

高橋美咲は静かに首を振った。桜井奈緒と鉢合わせすることを心配しているわけじゃない。

今考えているのは、さっき聞いたことだ。

あの看護師が桜井奈緒は妊娠していなかったと言っていた。それはきっと本当だと高橋美咲は感じていた。

高橋美咲は九条凛を見上げ、真剣な表情で言った。「私……桜井奈緒が妊娠を偽装して、流産も偽装して私を陥れたんじゃないかって疑ってる。」

「えっ、桜井奈緒が……何?今なんて言ったの?」九条凛は目を見開き、信じられないという顔で高橋美咲を見つめた。「証拠はあるの?」と慌てて尋ねた。

高橋美咲は首を振った。

証拠がないからこそ、こんなにも悩んでいるのだ。

あの若い看護師から何か有力な情報を聞き出せればいいのに。

その日一日、高橋美咲はどうやってあの看護師から秘密を聞き出すか、あるいは協力してもらうかばかり考えていた。

その晩、九条蓮が戻ってきた。

高橋美咲が目を離した隙に、九条凛は九条蓮に向かって眉を上下させ、スマホを振ってから立ち上がり、挨拶して部屋を出ていった。

九条蓮はスマホを取り出し、画面に静かに届いていたメッセージを見た。

九条凛:「桜井奈緒が新しい部長になったことはもうちゃんと説明したよ。美咲は怒ってないから、お礼は不要。あと2日間はカード使わせてもらうね。」

それを読み終えると、九条蓮は無表情のままスマホをポケットに戻した。

そのとき、高橋美咲が「九条蓮、ビデオは手に入った?どうだった?桜井奈緒とのこと、ちゃんと映ってた?」と尋ねた。

「ああ、手に入ったよ。」九条蓮はうなずいた。

彼はスマホを取り出し、高橋美咲に監視カメラの映像を見せた。

映像には高橋美咲と桜井奈緒が画面の隅に小さく映っていたが、出来事の一部始終はしっかり記録されていた。

音声はなかったが、桜井奈緒が先に手を伸ばし、そのまま後ろに倒れる様子がはっきり映っていた。その間、高橋美咲は一切押すような動作をしていなかった。明らかに呆然とし、周囲の人々も驚いて一斉に駆け寄っていた。

高橋美咲の顔に喜びが浮かび、表情が一気に明るくなった。

この映像があれば、自分の潔白を証明できる!

でも、まだ足りない!

故意かどうかに関わらず、周囲の目には桜井奈緒が流産したことになっている。もし妊娠自体が嘘で、美咲を陥れるための罠だったと証明できれば、世間の評価も一気に覆せるはずだ。

「もう考え込むのはやめて。まずはお腹を満たして。熱があるんだから、消化にいいものを食べなきゃ。」九条蓮は手に持っていたものを高橋美咲の前に置いた。

高橋美咲は我に返り、九条蓮が差し出した箸を受け取った。

無実を証明できる映像が手に入り、まだ手に入れていないものはあっても、気持ちはずっと楽になり、食欲も湧いてきた。

高橋美咲はきれいに全部食べ終えた。

九条蓮は前に出て、食べ終わったものを片付け始めた。

高橋美咲は、九条蓮がうつむいて忙しそうにしている姿をじっと見つめた。

彼は少し前かがみになり、前髪が垂れて端正な眉と目元を隠していた。顔にはかすかな疲れがにじんでいる。

そのとき初めて、高橋美咲は、熱で寝込んでいた夜のほとんどを九条蓮がそばで看病してくれていたこと、ろくに眠れなかったはずなのに、朝一番で映像の手配に出かけてくれたことに気づいた。

そして今まで戻ってこなかったのだ……

一瞬で、高橋美咲は強い罪悪感に襲われた。すぐに手を伸ばして彼の大きな手を押さえ、「九条蓮、ちゃんと休んで?目が充血してるよ」と言った。