Chapter 181
君はまだ磨かれていないダイヤモンド
彼女は高橋家に関することはすべて隠してきた。もうこれ以上関わりたくなかったからだ。
「……」九条蓮は自分で自分の首を絞めた気分だった。
すぐに話題を変えて、「九条社長は他のルートで知ったんだろう。とにかく、君に九条インターナショナルに来てほしいって」と言った。
その言葉で高橋美咲はすぐに現実に引き戻された。
彼女はこっそり九条蓮を見た。
本当は東京を離れたかったのは、彼からもっと遠ざかりたかったからだ。もし九条インターナショナルに入れば、また彼と一緒にいなきゃいけなくなる。
一瞬で高橋美咲の心は激しく揺れ動いた。
無実を証明するのは急務だが、もうこれ以上東京にはいられない。特に今夜――九条蓮への想いがこれまでになく強くなっていた。
自分を抑えきれなくなって、どうしようもないことをしてしまいそうで怖かった。
九条蓮は高橋美咲が葛藤しているのを知っていた。
だが、彼女が悩んでいる理由は、心の中の“白月光”と一緒になれないからで、自分が相沢翔に劣っていることが彼を狂わせていた。
それでも九条蓮は賢い男だ。焦ってはいけないと分かっていた。
まずは高橋美咲を自分のそばに置くことが第一歩だ。
彼は重々しく高橋美咲を見つめ、何気ない口調で言った。「これが君の唯一のチャンスだ。防犯カメラの映像がなければ、無実は証明できない。」
九条蓮は高橋美咲にプレッシャーをかけていた。彼女に決断を迫り、自分の側を選ばせようとしていた。
高橋美咲はすぐに覚悟を決めた。
「分かった、引き受ける!」
彼女はため息をつき、「実は卒業してから一度もその業界で働いたことがないの。九条社長は私を買いかぶりすぎだよ」と言った。
こうなったのは、すべてあの人のせい……
もし高橋正人の態度が違っていたら、何年も学んだ分野を諦めて、ジュエリーデザインとは全く違う壁画師になんてならなかったはずだ。
はあ、今さら昔のことを言っても仕方ない。
高橋美咲はすぐに複雑な感情を抑え、「でも、実務経験は全然ないんだ」と力なく言った。
九条蓮は表情を変えずに、「九条社長が君を評価してるってことは、君が原石だって証拠だよ。経験がなくても、これからゆっくり学べばいい。自分を卑下する必要はない」と言った。
高橋美咲は、九条蓮が人を励ますのが本当に上手だと気づいた。
彼にそう言われると、明日にも有名デザイナーになれる気がしてきた。
九条蓮は高橋美咲を見つめ、「そんなに立派な経歴があるのに、なぜ関連分野に進まなかったんだ?何かやむを得ない理由があったのかな。後悔はないの?」と尋ねた。
後悔?もちろんある!
でなければ、そもそもその道を選んで学んだりしない。
九条蓮は高橋美咲をちらりと見て、「美咲、卒業後にデザインの道に進まなかった理由を聞いてもいい?」と尋ねた。
調べて分かることもあるが、まだ知らないことが多い気がして、高橋美咲のことを十分に理解できていないと感じていた。
彼はもっと高橋美咲のことを知りたかった。
高橋美咲はその言葉を聞いて動きを止め、少し眉をひそめた。まるで昔の記憶に引き込まれたようだった。
しばらく沈黙した後、どこか懐かしそうに言った。「私、家族のこと話したの覚えてる?」
「ああ。」九条蓮はうなずいた。
「うちもジュエリー関係の仕事をしてるの。父と、あの女の娘も私と同じ分野を学んでて、いつも比べられてた。」
「卒業したら、家族は彼女の将来をもう決めてた。私も一緒に家業に入ったけど、いろいろあって、母がトラブルに巻き込まれて、私はその世話で手一杯で、結局デザインには戻れなかった。」
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