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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 159 - 今夜は九条蓮に手羽先をもう一本

Chapter 159

今夜は九条蓮に手羽先をもう一本

九条蓮のアドバイスがなければ、きっと今頃も真壁直人に振り回されて、何度も壁画を描き直す羽目になっていただろう。

今夜は九条蓮に、特別にもう一本手羽先をサービスしようと心に決めた。

何もできずに終わった真壁直人は、肩を落としてその場を後にした。

社長室。

真壁直人は涙ながらに訴えた。「九条社長、高橋さんに指摘事項を全部書かされてサインまでさせられました。もう何もできません!」

九条蓮は目を上げて彼を一瞥したが、何も言わなかった。

真壁直人はさらにぶつぶつと続けた。「高橋さん、どうやってあんな手を思いついたんでしょう。全然予想外でした。」

「俺が教えた。」

「えっ……?」真壁直人は九条蓮を驚いた顔で見つめ、「指摘事項をサインで確認させるって……九条社長が高橋さんに教えたんですか?」と半信半疑で尋ねた。

「ああ。」九条蓮はうなずいた。

真壁直人:「……」九条社長は高橋美咲を引き留めたいのか、それとも高橋美咲の株を上げたいのか。

社長の考えは複雑すぎて、もう全然分からない!

「この件はもう気にしなくていい。下がってくれ。」

まるで赦免を受けたかのように、真壁直人はすぐに踵を返して部屋を出て行った。

その頃、真壁直人をうまくやり込めた高橋美咲は、上機嫌で作業に集中し始めていた。

夢中で壁画を描いていると、背後から聞き覚えのある嫌な声がした。「美咲。」

振り返ると、そこにいたのは九条悠真だった。

高橋美咲の顔に一瞬だけうんざりした表情が浮かぶ。しかし手を止めず、まるで九条悠真の声など聞こえなかったかのように壁画を描き続けた。

無視された九条悠真は、不機嫌そうな顔をした。

彼は一歩前に出て高橋美咲の前に立ちはだかり、「どうして桜井奈緒を陥れたんだ?そんなに俺たちが幸せなのが気に入らないのか?」と詰め寄った。

高橋美咲は仕方なく手を止め、九条悠真に呆れたような目を向けて、「へえ、具体的にどうやって私が陥れたのか説明してくれる?」と、まるで知能に問題がある人を見るような目で言った。

「婚約パーティーで、俺に桜井奈緒を諦めさせるために、わざとAIであんな偽動画を作ったんだろ?それに、偽の男まで雇って俺のおじさんのふりをさせて!」

「高橋美咲、お前は結婚もしてないし、男もいない。もう全部分かってるんだ!」

まるで高橋美咲の尻尾を掴んだかのように、九条悠真は得意げな顔をしていた。

まるで高橋美咲がしたことは、すべて自分の気を引くためだったかのように。

九条悠真は眉をひそめ、どこか未練がましい表情で声を落として言った。「美咲、お前が悪いわけじゃない。ただ、奈緒には敵わない部分があるだけなんだ。」

「もうこんな極端な手で俺たちを引き裂こうとするのはやめてくれ。奈緒はお前の大事な妹だろ?これからも姉妹でいられたらいいじゃないか。」

AIの顔すり替え?

これからも仲良し姉妹?

九条悠真の言葉を聞くたびに、高橋美咲はまるで犬のフンでも踏んだような気分になった。

ふと何かを思いついたように目を光らせると、手に持っていた筆を無造作に脇へ放り、両手をズボンのポケットに突っ込んだ。

ポケットに手を入れる動作を利用して、スマホのクイック録音ボタンを押す。

九条悠真がどこまで気持ち悪いことを言うのか、録音してやろうと思ったのだ。

高橋美咲は冷笑しながら言った。「それが桜井奈緒の説明?AIの顔すり替えを信じてるなら、二人で仲良くやってれば?お願いだから、もう私の前に現れないで。」

九条悠真は眉をひそめ、ため息をついた。「やっぱりお前は頑固だな。その気持ちも分かるよ。」

そう言うと、話題を変え、少しだけ表情を和らげた。

「美咲、そんなに険悪になる必要はないだろ。お前は東京まで俺を探しに来たんだろ?空いてるマンションがあるから、もし必要なら……」