Chapter 152
大阪の高橋家からの業務提携
九条蓮は、高橋美咲が驚いた表情をしたことにとっくに気づいていた。耳の先まで赤くなっているのを見て、口元がわずかに上がる。
どうやら高橋美咲も、自分に対してまったく無関心というわけではなさそうだ。
時間が経てば、彼女の心にいる白月光も含め、すべて忘れさせられるかもしれない。
着替えている途中、九条蓮のもとに真壁直人から電話がかかってきた。
「九条社長、大阪の高橋グループから、弊社と業務提携したいとの申し出がありました」
それを聞いて九条蓮は眉をひそめた。高橋家とはこれまで何の取引もなく、交流さえなかった。それなのに、なぜ突然こちらへ接触してきたのだろう?
とはいえ、高橋家との提携に反対する理由はなかった。損になることもない。
「分かった。引き続き提携の話を進めろ」
それだけ言うと、九条蓮はそのまま電話を切った。
「ですが……」真壁直人は数秒ためらい、残りの言葉を口にできなかった。高橋家は九条インターナショナル側の責任者を指定しており、それが桜井奈緒だったのだ。
高橋美咲と桜井奈緒が犬猿の仲であることを考えれば、簡単に決められる話ではない。そのため真壁直人は、わざわざ九条蓮の指示を仰いだのだ。まさか九条蓮がまるで気にしないとは思わなかった。
結局、真壁直人は小さくため息をついた。
高橋家と九条家は、どちらも大阪の由緒ある名家であり、並外れた地位を誇っていた。
しかし、なぜか九条家と高橋家にはほとんど交流がなかった。まったくないと言ってもいいほどで、実に不思議なことだった。
今回、高橋家と提携できれば、九条蓮が将来九条家を継ぐ上でも、少なからず利益になるだろう。
そう考え、真壁直人はそれ以上悩むのをやめた。
九条蓮が電話を切った直後、今度は九条家の大旦那様から電話がかかってきた。彼は眉間に深くしわを寄せ、表情にかすかな緊張が走った。
ついに来たか。
九条蓮は落ち着いて通話ボタンをスワイプし、低い声で言った。「お祖父様」
「九条蓮!ずいぶん勝手をするようになったものだな。私に隠れて、よくもこんな真似ができたものだ!この老いぼれがまだ死なないから、さっさと怒り殺そうとでもいうのか?!」
電話がつながった途端、九条家の大旦那様の怒鳴り声が響いた。
結婚という一大事を、九条蓮はまったく相談もせず、勝手に決めてしまったのだ!
自分のことなど、これっぽっちも眼中にないではないか!
明おじさんは戻ってからも九条蓮の状況を大旦那様に報告せず、大旦那様もまた、九条蓮が林さんとの顔合わせを無事に済ませたものと思い込んでいた。
数日たって、ようやく林家へ事情を尋ねる時間ができた。
ところが返ってきた答えに、危うく怒りで爆発するところだった。
九条蓮は林さんとの約束をすっぽかしていたのだ!
その後に知ったことは、心臓発作を起こしかねないほど腹立たしかった。明おじさんを問い詰めた結果、九条蓮は自分の目と鼻の先で、勢いのまま結婚していた。それも相手の女は、なんと……
九条蓮が自分の甥と同じ女を共有していると知った時、九条家の大旦那様は呼吸を整えるまでに長い時間がかかった。そしてようやく、九条蓮へ電話をかけ、問いただしたのだ。
大旦那様の口調を聞き、九条蓮はすべてが露見したのだと悟った。
それは彼が想像していたよりもずっと早く起こり、何の準備もできていなかった。
「お祖父様、ずっと僕に結婚してほしいって言ってたでしょう?今こうして結婚したんだから、喜んでくれてもいいはずだよ。」
九条家の大旦那様は怒りをこらえて笑った。「私は大阪の名家の令嬢と結婚してほしかったんだ。それが……お前は一体何と結婚したんだ?あんな女、九条家に入れるなんて絶対にありえん!」
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