Chapter 151
破格の要求(続き)
和田琉生は一瞬固まった。すぐには返事をしなかった。
「お嬢様、その件は非常に重要ですので、高橋様に確認してからお返事いたします。少々お待ちください。」
桜井奈緒はうなずいた。「じゃあ、聞いてきて。」
和田琉生は病室を出て、おそらく電話をかけに行ったのだろう。
待っている間、桜井奈緒は内心そわそわし、バレるかもしれないという不安と期待が入り混じっていた。
だがすぐに「もしバレていたら、和田琉生が助けに来るはずがない」と自分に言い聞かせた。
仮に今バレたとしても、失うものは何もない。
10分ほどして、和田琉生が再び部屋に入り、恭しく「お嬢様、高橋様よりご承諾いただきました。今後は私が全ての計画をお手伝いします」と伝えた。
桜井奈緒は心の中で歓喜しながらも、顔には信じられないような表情を浮かべていた。
自分が……本当に成功したのか?
これからは高橋家の長女として、この絶好のチャンスを存分に利用し、皆を思いきり踏みつけてやるのだと心に誓った。
すべてを終えた高橋美咲は、その足でスーパーへ向かった。
今日も勝利を収めたのだから、少しくらいお祝いしてもいいだろう。
ところが食材を買って帰宅した直後、九条凛から電話がかかってきた。慌てた様子の九条凛は、ネット上にあった桜井奈緒の醜聞がすべてきれいに消えていて、誰かが裏で手を回したのではないかと疑っていた。
九条凛はぶつぶつ言った。「桜井奈緒って、本当にそんな力ある?こんな短時間で解決したなんて、ちょっと信じられないんだけど」
高橋美咲はわずかに眉をひそめ、自分でも検索してみた。案の定、ネット上には桜井奈緒の醜聞が一つも残っていなかった。跡形もなく消えている。
「美咲、見た?あの白蓮みたいな桜井奈緒に、こんな醜聞をもみ消す力なんて絶対ないよ。誰かが助けてると思う」
九条凛の言葉を聞き、高橋美咲の目がわずかに動いた。
考えるまでもなかった。桜井奈緒を助けたのは、おそらく九条悠真だろう。
彼女の口元に嘲るような笑みが浮かんだ。
あんなことがあった後でも、二人は別れなかったらしい。それどころか逆境を経てますます大胆になり、愛は金よりも固くなったというわけだ。本当に感心する。
今の高橋美咲には、九条悠真への未練などとうになかった。彼は人生ですれ違っただけの人、取るに足りない過去の一部にすぎない。
今回は見逃してやろう。桜井奈緒がまた恥をかきに自分からやって来ない限り、大目に見て、二人の世界から消えてあげるつもりだった。
この小さな出来事で、高橋美咲の気分が損なわれることはなかった。上機嫌のままマンションへ戻った。
だがドアを開けた途端、浴室から出てきたばかりの九条蓮が目に入るとは思わなかった。上半身には何も着けず、腰にバスタオルを巻いただけで、完璧な体つきがあらわになっていた。
高橋美咲はぎくりとして、目を大きく見開いた。
もともと九条蓮は端正な顔立ちだが、体つきはそれ以上に素晴らしく、まさに最高級だった。これほどの目の保養が目の前にあれば、高橋美咲でさえ思わず見とれてしまう。
気づかないうちに、さまざまな光景が脳裏に浮かんだ。
初めて出会った時のあの事故、そして夢の中で見たいくつもの場面。頬が本当に熱くなり、全身がこわばった。手足をどこへ置けばいいのかさえ分からない。
「帰ったのか?」九条蓮は特に表情を変えず、軽く声をかけただけだった。
高橋美咲は唾をのみ込み、惚けた顔を見抜かれないよう、必死で九条蓮を見ないようにした。
食材を抱えたまま台所へ向かう。「ご飯、作ってくる」
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