Chapter 123
旧友との再会(続き)
まさか彼が東京まで来てくれるなんて。東京に親戚がいない高橋美咲は、心から嬉しかった。
彼女は急いで九条蓮のもとに戻り、「九条蓮、ごめん、急用ができたから先に戻るね。凛ちゃんたちと楽しんでて」と伝えた。
九条蓮の目がさらに陰る。「どこに行くんだ?」
「友達が東京に来たの。空港まで迎えに行かなきゃ。」
「友達?」
「昔からの知り合いよ。」高橋美咲は身元を明かしたくなくて、曖昧に答えた。それだけ言うと、テントに戻って荷物をまとめ始めた。
九条蓮は何かを思い出し、表情が険しくなった。
高橋美咲が戻ってくると、彼は「俺が送っていく」と言った。
高橋美咲は一瞬固まり、気まずそうに断った。「い、いいの……タクシーで帰るから。」
二人の関係は本当に説明しづらかった。相沢翔が高橋正人に話してしまったら、もっと面倒なことになるのが怖かった。
それに、契約が終われば離婚する予定だ。相沢翔には絶対に知られたくない。彼ならきっとお金を返すのを手伝おうとするだろうし、そんな大金を失わせたくなかった。
少ししたら相沢翔に会って、大阪に戻るよう説得するつもりだった。
そうすれば、何も知られる心配もない。高橋美咲は手を振り、荷物を持って足早にその場を離れた。
九条蓮は彼女の嬉しそうに急ぐ後ろ姿を見つめ、顔をさらに険しくした。
高橋美咲が質問に答えたとき、一瞬ためらった。それはきっと後ろめたいことがあったからだ。
彼女が会いに行く相手は、ただの友人ではない。きっと自分に隠している男に違いない——しかも、絶対に知られたくない相手だ。
その時、九条凛がテントから出てきた。
彼女は伸びをしながら九条蓮に「美咲は?まさかまだ寝てるんじゃないでしょうね?」と聞いた。
「もう出かけたよ。」
九条凛は目を丸くした。「もう出かけたの?」
「昔の友人に会いに行ったらしい。」
九条凛はそれを聞くと、急に目を輝かせて九条蓮の隣に座り、まるで名探偵にでもなったかのような顔つきになった。
「お兄ちゃん!ちょっと無防備すぎるよ。美咲のお母さんは大阪の個人病院にいるし、私たちも大阪の学校だった。九条悠真がいなければ、なんで東京に来る必要があるの?東京に友達なんているはずないじゃん!」
九条蓮は目を上げて彼女を見た。
「なんで一緒に行かなかったの?どんな友達か、男か女か、年齢や背の高さまで全部分かったのに。」
「美咲が送ってほしくないって。」
九条凛は手をパンと叩いた。「それ、絶対怪しいって!考えてみてよ、美咲が送迎を断るタイプ?あんなに隠してるのは、絶対に後ろめたいからだよ。」
九条蓮はもともと機嫌が悪かったが、九条凛の言葉でさらに顔色が悪くなった。
彼はすぐにスマホを取り出し、真壁直人に電話して高橋美咲の行き先と、誰に会うのか調べるよう指示した。
成田国際空港。
高橋美咲は到着ゲートで周囲を見回し、すぐに一人のハンサムな男性を見つけた。
その男性は背が高くラフな服装だったが、群衆の中でもひときわ目立つ存在感があり、多くの視線を集めていた。
本当に相沢翔だった。
彼女が近づくと、相沢翔は手を伸ばして彼女を抱きしめ、優しく笑った。「久しぶりに会ったけど、全然変わってないな。やっぱり美咲は小さい女の子のままだ。」
その言葉を聞いて、高橋美咲は少し胸が熱くなった。
こんなに甘やかすような口調で話しかけられるのは久しぶりだった。自然と高橋家のこと、そして血のつながったあの男性のことを思い出してしまう。でも、もう昔のようには戻れない。
「翔も全然変わってないよ。相変わらずイケメンだし。」
高橋美咲の褒め言葉に、相沢翔はご機嫌で口元を緩めた。「そんなに甘いこと言って、口に蜂蜜でも塗ってきた?さあ、ご飯でもご馳走するよ。」
You might also like




