Chapter 116
誰が行きたくないって言ったの?(続き)
人数が増えれば、気まずさも和らぐはずだ。そうでなければ、九条蓮とどう向き合えばいいのか分からない。彼と一緒に出かけられるのは嬉しいけれど、今の二人の関係はあまりにも微妙すぎる。
九条凛はこっそり九条蓮の様子をうかがった。
表向きは高橋美咲を元気づけるための企画だったが、実際は二人をくっつけるための作戦でもあった。もし美咲が今夜自分と一緒に寝たいと言い出したらどうしよう?
それだけは絶対に避けたい!
やっぱりもう一人呼ばなきゃ。
九条凛は「美咲、そうね。三人じゃちょっと少ないかも。ちょっと待ってて……女友達を一人誘ってみる」と言った。
そう言いながら、九条凛はスマホを取り出し、連絡先から親しい友人に電話をかけ始めた。
なぜか今日は東京にいる九条凛の親しい友人たちが誰もつかまらない。唯一つながった子も、どうしても都合がつかず来られないという。
あれこれ手を尽くしたものの、九条凛はすっかり落ち込んでしまい、顔には諦めの色が浮かんでいた。
誰一人見つからないなんて!
高橋美咲にも東京に友人はいない。唯一の親友は九条凛だけ。もう一人は元カレを奪った桜井奈緒で、今となっては九条凛だけが唯一の親友だった。
九条凛が困った顔をしているのを見て、彼女は「誰も見つからなくても大丈夫だよ。三人だけで行こうよ?」と言った。
「ダメ!」九条凛はきっぱりと拒否した。
高橋美咲の性格を知っている九条凛は、絶対に今夜一緒に寝ようと言い出すに違いないと思い、どうしてももう一人誰かを見つけなければならなかった。
焦っていると、九条蓮が口を開いた。「俺が誰か呼ぶよ。」
「兄さんが?誰を呼ぶっていうの……」九条凛は呆れたように言った。九条蓮が正体を隠しているのに、周りはみんな金持ちか権力者ばかりじゃないか。
二人が返事をする間もなく、九条蓮はすでにスマホを取り出して電話をかけていた。
無表情のまま低い声で「場所を送る。10分以内にタクシーで来てくれ。キャンプに行く。俺と九条凛だ」とだけ伝え、すぐに通話を切った。
高橋美咲と九条凛は、誰に電話したのか、男なのか女なのかも分からず、興味津々で九条蓮を見つめた。
車の中で10分ほど待っていると、タクシーが横に停まり、背の高いイケメンが降りてきた。
九条凛はその男を見て目を見開いた。「神谷海斗!」
うそでしょ、兄さんがこの人を呼ぶなんて!
九条凛の呆然とした顔を見て、高橋美咲は不思議そうに「凛、この人知ってるの?」と尋ねた。
「えっ……ははは、一度だけ会ったことあるけど、そんなに親しくないよ……」九条凛は慌ててごまかし、簡単に説明した。
冗談じゃない!知らないわけがない!
彼は大阪四天王の一人、神谷家の長男・神谷海斗――兄の親友だ!
九条凛は九条蓮をちらりと睨み、神谷海斗を呼んだことを責めるような視線を送ったが、九条蓮はまるで気づかないふりで前を向いていた。結局、九条凛は折れるしかなかった。
神谷海斗が事情を知らずに何か口を滑らせて、九条蓮の正体が高橋美咲にバレるのを恐れ、九条凛は急いで彼の腕を引っ張り、二人きりで話せる場所へ連れて行った。
高橋美咲に聞こえないことを確認してから、九条凛は声を潜めて「ねえ、神谷海斗、海外から帰ってきたの?ていうか、大阪にいるはずじゃなかったの?なんで東京に?」と尋ねた。
神谷海斗は何も言わず、九条凛を見つめて逆に質問した。「別れたのか?」
その厄介な男の話題が出ると、九条凛の顔は一気に曇った。
「知ってるだけで十分、もう心に塩を塗らないでよ。はぁ……私のことはいいから。とにかく言っておくけど、美咲はまだ兄さんの正体を知らないから、絶対にバラさないで、分かった?」
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