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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 115 - 誰が行きたくないって言ったの?

Chapter 115

誰が行きたくないって言ったの?

少し不思議に思いながらドアを開けると、そこには九条凛が立っていた。

今日の九条凛は薄化粧で、どこか爽やかで上品な雰囲気をまとっていた。スポーティーなカジュアルウェアに身を包み、髪はポニーテールにまとめられていて、若々しくて可愛らしい印象だった。

「凛、どうしたの?」

九条凛は満面の笑みで高橋美咲の腕に絡みつき、「美咲、昨日あのクズの九条悠真を思いっきりやっつけてやったじゃない?今日はその勝利を祝って、みんなで遊びに行こうよ!」と声を弾ませた。

「遊びに行くって?でも私、蓮さんと……」高橋美咲は言い淀んだ。

今日は九条蓮と離婚しに行く予定だった。遊びに行く時間なんてあるはずがない。

「もう、そんな「でも」はいいから。早く着替えてきて。全部手配してあるから、今日はピクニックとキャンプに行くの。あなたも旦那さんも一緒に、思いっきり楽しもう!」

高橋美咲は困ったように首を振った。「彼はそんな……」

九条蓮の分まで断ろうとしたその時、九条蓮が後ろから静かに前に出てきて、低い声で「俺が運転する」と言った。

九条凛はにっこりして「それなら決まりね。さあ、出発しよう!」と明るく言った。

そんな流れで、高橋美咲はよく分からないまま車に乗せられ、急きょキャンプに連れて行かれることになった。

どうやら九条蓮は昨日の高級車をすでに返却したようで、今日は以前と同じ地味で目立たない普段使いの車を運転していた。

もちろんキャンプとなれば、外で料理するための食材を買い込む必要がある。

九条凛はこういうことに慣れているらしく、九条蓮に八百屋で車を止めさせると、二人を連れて買い物に繰り出した。二人はまるで付き人のように、荷物持ちをしながら後ろをついて歩いた。

九条凛が品物を選んでいる間、高橋美咲は九条蓮のそばに寄って小声で「もし行きたくなかったら断ってもいいのよ。私が凛に話すから。絶対に責めたりしないから」と囁いた。

九条蓮は立場上、雇い主の誘いを断りにくいのだろうと思ったからだ。だから断れなかったのだろうと。

でも自分は違う。九条凛とは親友同士だから、自分が言えば問題ない。

高橋美咲は心の中でそっとため息をついた。本当は今日は離婚するはずだったのに、こんな予想外の展開になるなんて。どうしていいか分からず、ただ困惑するばかりだった。

高橋美咲の不安そうな様子を見て、九条蓮はゆっくりと「誰が行きたくないと言った」と口にした。

えっ?行きたいの?

高橋美咲は九条蓮を驚いたように見つめたが、彼はすでに九条凛の後を追って歩き出していた。

結局、美咲は荷物を抱えたまま、渋々ついていくしかなかった。

すべての荷物をトランクに積み終えると、九条凛は持ち物を一つ一つ確認し始めた。トランクの前で「テント、薬、寝袋、マット、防虫スプレー、ライター……」とぶつぶつ呟く。

一通り確認し終えると、ようやく安心したように「全部揃ったわ。じゃあ、すぐに出発しましょう」と言った。

キャンプとなれば、当然テントは必需品だ。

高橋美咲は何か言いかけたが、九条蓮もすっかりその気になっている様子を見て、また黙り込んでしまった。

実は、本当に離婚するとなると、どこか未練が残っていた。あと二日くらい引き延ばして、気持ちを整理するのも悪くないかもしれない。

知らないふりをしていればいい……

そう思うと、高橋美咲はもう深く考えるのをやめ、九条凛に連れられるまま楽しむことにした。

高橋美咲は九条蓮と九条凛をちらりと見て、この三人の組み合わせがなんとも言えず気まずくて、バランスが取りづらいと感じた。

だから高橋美咲はためらいがちに「凛、もう何人か呼ばない?」と提案した。