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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 11 - 甥の元カノ

Chapter 11

甥の元カノ

九条蓮の目が鋭くなり、静かに冷たい気配が滲み出る。

低い声で「高橋美咲と九条悠真について調べろ」と命じた。

九条凛を信じていたから、高橋美咲の素性を調べることはしなかった。彼女も九条凛と同じく、どこかの資産家令嬢だろうと無意識に思い込んでいたのだ。まさか、こんな大きな爆弾が隠れていたとは。

甥の元カノ!

九条悠真とは全く接点がなかったが、九条インターナショナルに入った時、多少の噂は耳にしていた。

九条悠真はスキャンダルが絶えず、私生活はかなり乱れていて、女優やモデルを何人も弄んでいた。

出張前、真壁直人が「大きなお腹の女性が家に来た」と話していたのを思い出す。その後、九条悠真が金を渡して追い払ったらしい。

今思えば——

九条凛は「高橋美咲は最近彼氏と別れた」と言っていたし、時期もぴったり合う。

まさか、俺を騙したのか?

九条蓮の表情はさらに冷たくなり、周囲の空気も一層凍りついた。

その時、真壁直人が調べた情報も届いた。すぐに彼のスマートフォンに送信され、九条蓮は無表情で開いた。

最初の一行に目が留まる。「高橋美咲と九条悠真、交際期間3年——」

元カレが本当に九条悠真だった!

九条蓮は深く息を吐き、鼻梁を指でつまんだ。

高橋美咲のような経歴と、あの不名誉な過去では、九条会長の強引さを振り切る自信などあるはずもない。この馬鹿げた結婚も、もうすぐ終わるだろう。

「九条社長、奥様が何度もお会いしたいと仰っています。お呼びしましょうか?」と真壁直人の声が隣で響く。

九条蓮は手を上げて制した。「必要ない。行こう。」

控えめながらも高級感漂うロールスロイスは、誰にも気づかれず九条インターナショナルの地下駐車場へと滑り込んだ。九条沙耶香と桜井奈緒も、その存在に気づかなかった。

「お義母様、今日の午後、披露宴の装飾担当の方々が来られます。一緒にご覧になりますか?」と桜井奈緒が微笑みながら尋ねる。

「ええ、もちろん。あなたたちにアドバイスしてあげるわ。」と九条沙耶香は頷き、ふと思い出したように「もうすぐ悠真と婚約するのだから、そろそろあなたのお父様とも正式にお食事したいわね」と話を振った。

桜井奈緒の表情が一瞬曇ったが、すぐに元に戻った。

九条沙耶香は高橋美咲の家柄を見下していたが、自分の家柄も同じく見下されていた。

だが、彼女の母親は大阪の高橋家で家政婦として働いており、高橋家の事情にはかなり詳しかった。母親から聞いた話では、高橋正人には長女がいたという。

しかし、母親が家政婦として働き始めた時には、その長女はすでに家を出ていた。家族と揉めて出て行ったらしく、母親も一度も会ったことがなかった。

今では社交界でもその長女の情報は一切なく、桜井奈緒は一計を案じ、自分こそが高橋家のお嬢様だと偽った。

その後はすべてが順調に進み、九条沙耶香の態度も一変して、あらゆる面で気に入られ、ついに九条悠真との婚約までこぎつけた。

桜井奈緒の視線は自分の下腹部に落ちる。

あとは、このお腹がうまくいくかどうかだ。

すぐに気を取り直し、柔らかく微笑んで「お義母様、父は最近チャリティ活動で忙しくて、今は時間が取れません。この時期が終わったら、必ずご挨拶の場を設けます」と答えた。

九条沙耶香は少し眉をひそめた。

桜井奈緒は高橋家で撮った写真や、高橋正人とのツーショットも何枚も送ってきていたので、九条沙耶香は全く疑っていなかった。実際、最近のニュースでも高橋正人がチャリティ活動に参加していると報じられていた。

九条沙耶香はほっと息をつき、思いやりのある口調で頷いた。「それなら、お父様のお仕事が落ち着いたらでいいわ。急がなくて大丈夫よ。」