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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 108 - 高橋家、遅れて到着

Chapter 108

高橋家、遅れて到着

「お金?寝言は寝て言いなさいよ!」桜井奈緒は歯ぎしりしながら言い放った。「全部あんたたちがヘマしたせいでしょ。事前にちゃんと動画を確認できなかったの?」

桜井奈緒が全ての責任を押し付けてきたことで、月島瑠奈と望月麗奈は一気に怒りをあらわにした。

二人は軽蔑したような目で睨み返し、遠慮なく言い返した。「あんたが「柏木健人と高橋美咲の動画」だって言ったんでしょ?そりゃ疑わないわよ。」

「そうよ。まさかあんたが柏木健人とあんなことになるなんて思わないし、その腹いせに私たちに八つ当たりするなんて、理不尽すぎる!責めるなら自分を責めなさいよ!」

月島瑠奈と望月麗奈の言葉に、桜井奈緒はさらに怒りで喉が詰まる思いだった。

今すぐこの二人を追い出して、もう自分の前にうろつかせたくなかった。

その時、ドアをノックする音が響いた。

桜井奈緒は二人に鋭い視線を送った。「出て。」

二人は渋々だった。もう桜井奈緒のために何かする気はなかったが、ノックは止まず、仕方なく月島瑠奈がドアの方へ歩いていった。

外には泉ヶ丘邸のメイドが立っていた。「桜井様、外にお客様がいらしています。高橋家を代表して贈り物をお持ちしたとおっしゃっています。」

えっ!?

桜井奈緒の目が大きく見開かれ、信じられない思いでいっぱいだった。動画が流出した後に、今度は自分の素性まで暴かれるのか?

だが、ふと何かを思いついたように、慌てて尋ねた。「誰が来たの?男?女?」

もし高橋家の人間が高橋正人でなければ、まだ望みはある!

メイドは「男性です」と答えた。

桜井奈緒はそっと唇を噛んだ。その男は高橋正人なのか、それとも別の誰かなのか。

心の中は不安でいっぱいだったが、ここまで来たらもうどうにでもなれと、結局外に出てみることにした。

桜井奈緒は痛む体を引きずりながら、宴会場の外へ向かった。

すでに宴会場の客の半分以上は帰っており、残っているのはまばらな数人だけだった。

入口にはスーツ姿の男性が立ち、背後には背の高いボディガードが二人、いくつもの贈答用の箱を手にしていた。

まだ残っていた客たちは、彼らを見て驚きと困惑の表情を浮かべた。

九条悠真の婚約披露宴で、また何か波乱が起きるのか?

その時、誰かが思い出したように言った。「そういえば、前に噂があったよね。桜井奈緒は高橋家のお嬢様で、九条悠真は高橋家の婿だって。ってことは……この人たち、高橋家の関係者?」

その言葉が落ちるや否や、皆の表情が一気に微妙なものに変わった。

どうせ嘘だと思っていたし、さっきまであんな騒ぎだったのに高橋家は一度も姿を見せなかったからだ。

皆は足を止めて、何が起きるのか見届けようとした。

「言われてみれば、忘れてた。九条沙耶香がずっと自慢してたよね。」

「てっきり成り上がりの偽物と結婚するのかと思ってたけど、これって本当だったの?」

「この男、前に見たことある。数日前、高橋正人がチャリティーイベントに出席した時、奥様の隣にいた人だ。間違いなく高橋家の人間だよ!」

ざわめきの中、桜井奈緒が姿を現した。

彼女は立っている男性を見て、戸惑いを隠せなかった。見覚えがなかったのだ。

男性は、さきほど伝言を届けたメイドが桜井奈緒の隣に立っているのを見て、一瞬疑念の色を浮かべた。まさかこの人が高橋家の長女なのか?

心の動揺を抑え、真剣な面持ちで尋ねた。「あなたが……長女様でいらっしゃいますか?」

桜井奈緒は内心ぎょっとしたが、無理やり平静を装い、逆に問い返した。「あなたは?」

桜井奈緒の返事を聞き、男性はおそらく間違いないと感じた。

彼は恭しく一歩前に出て、にこやかに言った。「初めまして、長女様。私は和田琉生と申します。高橋家の執事でして、ここ数年で高橋家に仕えるようになりましたので、お目にかかるのは初めてかと存じます。」