Chapter 104
九条社長が本当に可哀想
「本当じゃない?今、動画があるって言ってたし」
「高橋美咲、終わったな。九条社長、きっとその場で捨てるんじゃない?」
「いやいや、高橋美咲も自分の過去が暴かれるなんて思ってなかっただろうな。これからどうするんだろう?」
高橋美咲はふと何かを思い出し、九条蓮の方を見た。
あの日、九条蓮は柏木健人の件は自分が処理すると言っていたが、具体的にどうしたのかは聞いていなかった。てっきり九条蓮が柏木健人を刑務所送りにしたのだと思っていた。
もしかして、裏で何か仕掛けていたのだろうか?
九条蓮は片手をポケットに入れ、落ち着き払った様子で高橋美咲を見つめ、安心するように目で合図を送った。
その表情を見て、高橋美咲の心はすっと落ち着いた。
彼女は九条蓮を信じていた。
周囲のひそひそ話を聞きながら、桜井奈緒は大いに満足し、勝ち誇ったように口元をつり上げた。
高橋美咲、これで完全に終わりね!
その直後、会場中央の巨大スクリーンが点灯した——
ホテルの監視カメラ映像が映し出され、桜井奈緒も他の人々と一緒に画面を見つめ、笑みを浮かべていた。
最初は得意満面だったが、次第にその笑顔が消えていった。
やがて桜井奈緒の表情は凍りつき、目には恐怖が広がり、ついには発狂したように叫んだ。「消して!早く消してよ、その画面!」
流れていたのは、高橋美咲が柏木健人に無理やり襲われる映像ではなく、桜井奈緒自身が柏木健人の下で必死に媚びを売り、高橋美咲を陥れるよう頼み込む決定的な映像だった。
音声はなかったが、どう見ても積極的なのは桜井奈緒の方だった。
桜井奈緒が映像に登場した瞬間、会場は騒然となった。
誰もが目を見開き、あまりに生々しい映像に言葉を失った。
月島瑠奈と望月麗奈は、高橋美咲を嘲笑う準備をしていたが、スクリーンを見た瞬間、完全に固まった。
流れているのは高橋美咲じゃない!?
どうして桜井奈緒の映像になってるの?
その時、九条悠真と九条沙耶香は高橋家の到着を待って入口付近にいたが、会場の騒ぎに気づき、急いで中へ戻った。
ところが、九条悠真が入った瞬間、桜井奈緒が柏木健人の上で大胆に腰を振り、激しく絡み合う姿が目に飛び込んできた。
あまりの衝撃に言葉も出ず、血圧が一気に上がり、全身が裏切りへの怒りで満たされた。
桜井奈緒め!
あの女、よくも自分の目を盗んでこんなことを!
しかも映像の桜井奈緒の胸には赤いアザがあり、間違いなく本人だと確信できた。
静まり返っていた会場は一気に爆発し、議論の嵐で屋敷の天井が吹き飛びそうな勢いだった。
「な、なんだこれ!」
「うそだろ!今見たのは……九条社長が浮気されたんじゃなくて、九条部長が裏切られたのか?」
「気持ち悪い。桜井奈緒、マジで最低。口まで使ってるし!」
「さっき高橋美咲が浮気したとか、九条社長が裏切られたとか言ってたの誰だよ?明らかに桜井奈緒じゃん!」
桜井奈緒は完全に崩壊していた。全身の血が止まったような感覚で、どう反応していいか分からなかった。
どうしてこんなことに?
まさか自分でスクリーンを消すのを忘れて、映像を最後まで流してしまい、柏木健人との関係を全員の前でさらけ出すことになるなんて!
裕福な奥様たちの中には、さきほどの九条沙耶香の得意げな顔に、ずっと嫉妬していた者も少なくなかった。
そんな中、未来の嫁である桜井奈緒の醜聞が暴かれたことで、彼女たちはここぞとばかりに九条沙耶香を嘲笑い、集まっては口元を手で隠しながらクスクスと笑った。
「ちっちっちっ。まさか高橋家のお嬢様がこんなに尻軽だったなんて――男なら誰でもいいのかしら。」
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