Chapter 321
三時間の制裁(続き)
二人の給仕にとって、その意味が分からないはずがない。ここから出たければ、他に選択肢はなかった。
どうせ相手が変わるだけで、損はない。
二人は左右から森川佳鈴を抱え、奥の部屋へと引きずっていった。その瞬間、森川佳鈴の口は再び自由になった。
彼女は悲痛な声で叫んだ。「九条さん、こんなことしないで!私の父は九条家に長年仕えてきたのよ。その恩を考えて、私をこんな目に遭わせないで……」
九条蓮は一切表情を変えなかった。
彼女が感謝すべきなのは、父親が九条家に仕えていたことだ。そうでなければ、今日の結末はこんな生易しいものでは済まなかった。
ほどなくして、森川佳鈴と二人の男は視界から消えた。しばらくして、奥の部屋から森川佳鈴の悲鳴が響いた。「やめて、やめて、お願い……」
九条蓮は神谷海斗に冷たく言った。「凛を先に家へ送れ」
「うん、分かった」神谷海斗はうなずいた。
九条蓮は外へ向かって歩き出した。扉が開いた瞬間、佐伯葉月は驚き、思わず九条蓮と目が合った。
男の目は冷ややかに彼女を一瞥しただけで、何の興味も示さず、そのまま通り過ぎていった。
九条蓮の高く気品ある後ろ姿を見送りながら、佐伯葉月の瞳には憧れの色が浮かび、若い心が高鳴った。
これが九条蓮……!
父が言っていた通り、本当に人並み外れて優雅で、非凡な存在だった!
高橋美咲が目を覚ますと、見知らぬ部屋のベッドに横たわっていた。彼女は反射的に上体を起こしたが、その拍子に体を引っ張ってしまった。
ものすごく痛い!まさか、私……
慌てて下を向くと、ちょうど毛布がずり落ち、繊細な体に無数の痕が残っているのが目に入った。白い肌にくっきりと刻まれた跡が、何が起きたのかをはっきりと物語っていた。
頭が一瞬で真っ白になり、まるで雷に打たれたような衝撃が走る。
初めてが奪われた!
高橋美咲は長い髪を掴み、現実を受け入れられず、今にも崩れ落ちそうだった。どうしてこんなことになったのか分からず、パニックで頭が混乱していた。
誰が私を汚したの?
意識を失う直前の記憶がよみがえる。トイレで体に異変を感じ、その後の記憶はまったくなかった。
誰なの?一体誰なのよ?!
あの二人の見知らぬ男たちだったの?
その可能性を思い浮かべた瞬間、高橋美咲の顔は真っ青になり、その場で倒れそうになった。頭の中は完全に混乱し、どうすればいいのか分からなかった。
頭の中にあるのはただ一つ、「ここから出なきゃ!」という思いだけだった。
高橋美咲は疲れ切った体を引きずってベッドから降りた。近くに昨夜のドレスが落ちていたので、とりあえずそれを身につけ、この場所から出て安全を確保しようとした。
ドアを開けると、二人の声が聞こえてきた。
高橋美咲は慌てて脇の隅に身を隠し、二人の会話がはっきりと耳に届いた。
「マネージャーに掃除しろって言われたけど、中の女性を起こしちゃいけないんだって。もう起きてると思う?」
「さあね。もう少し待つ?」
「早く掃除しないと、マネージャーに怒られるよ。」
「じゃあ、ちょっと中を見てみる?」
そんな会話をしながら、二人は部屋の前まで来てノックし、そのままドアを開けて中に入っていった。そこは高橋美咲が今出てきたばかりの部屋だった。
二人が中に入ったのを見届けてから、高橋美咲は隅からそっと姿を現した。
さっきの二人の会話を思い返す。
二人はマネージャーに掃除を頼まれて来たと言い、彼女が出てきた部屋に入っていった。どうやら誰かが自分を助けてくれたらしい。
もしかして、あの二人のスタッフに襲われたわけじゃなかったのか?!
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