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裏切った婚約者の叔父と、間違って結婚しました

Ch. 213 - 高橋美咲に捨てられて

Chapter 213

高橋美咲に捨てられて

高橋美咲は階段を降り、九条インターナショナルのビル前の道路脇に立って九条蓮を待った。

ほどなくして、ごく普通の自家用車が九条インターナショナルの前に停まった。高橋美咲はドアを開けて乗り込み、ドアを閉めた瞬間、車はせっかちに発進した。

高橋美咲は少し驚いた。

何か尋ねる前に、隣から九条蓮の声がした。「九条悠真がつけてきた。たぶん君を尾行してたんだ。」

その言葉に、高橋美咲の目尻がピクリと動いた。

彼女はバックミラーをちらりと見て、やはり九条インターナショナルのビルの隅に、暗い表情の九条悠真が立っているのを見つけた。

まさか本当に九条悠真がここまでしつこいとは思わなかった。いったい何がしたいのだろう、彼女をつけて。

九条悠真の行動が妙だとは思ったが、高橋美咲は特に気に留めなかった。今考えるべきは……今夜の夕飯を何にするか、だった。

その頃、九条悠真は九条インターナショナルのビルの外で、険しい顔つきのまま立ち尽くしていた。あと一歩で、高橋美咲を迎えに来た男が誰か見られたのに!

だが、あの車を見る限り、神谷海斗の車ではなさそうだ。

神谷海斗は神谷家の長男だ。百万円ちょっとの車なんて、彼の身分なら絶対に乗らないはず。じゃあ、他に男がいるのか?

九条悠真は混乱に沈んだ。

一方、高橋美咲と九条蓮が代官山パークレジデンスに戻ったところで、高橋美咲の携帯に相沢翔から電話がかかってきた。彼女はスマホを取り出し、スワイプして応答した。

「翔。」

高橋美咲の呼び方を聞いて、ちょうどドアを開けていた九条蓮は一瞬動きを止め、目を細めて全身に警戒心をみなぎらせた。

「美咲、東京にいるんだ。早く迎えに来てよ!」

高橋美咲は困ったようにため息をついた。ここ数日、相沢翔は不運続きで大阪を離れられなかったが、ようやく無事に片付いて、また自由に動けるようになったのだ。

彼女は九条蓮を見て、申し訳なさそうに言った。「九条蓮、ごめん、ちょっと出かけなきゃいけないかも。今夜は外で食事してもらってもいい?」

「相沢翔に会いに?」

「うん、翔が東京にいるから、迎えに行かなきゃ。」

高橋美咲は時間を確認した。「もう切るね。あんまり待たせると、絶対文句言われるから、先に行ってくる。」

そう言って、高橋美咲はくるりと背を向けて出て行った。

九条蓮は彼女の急ぎ足の後ろ姿を見送り、目を暗くした。部屋には入らず、そのまま車のキーを手にして出て行った。

1時間後、九条蓮は九条家本邸に戻った。

ちょうどその時、九条凛が夕食をとっていた。思いがけない人物の帰宅に、彼女は目を丸くした。「お兄ちゃん?どうして帰ってきたの?」

九条蓮はテーブルの夕食を見て、「何か残ってる?」と尋ねた。

その様子を見て、九条凛の好奇心が爆発した。彼女は急いで九条蓮を引っ張って座らせ、「まあまあ、そんなに急がないで。蓉さんに何か作ってもらうから。まず教えて、お兄ちゃん一人で帰ってきたってことは、美咲さんとケンカしたの?」

「してない。」

九条凛は全く信じていなかった。九条蓮の顔には「立入禁止」と書いてあるようなもの。どう見てもケンカしてない顔じゃない。明らかに機嫌が悪い。

九条凛が知りたくてたまらない様子を見て、九条蓮は「相沢翔が来てる」とだけ言った。

九条凛は目を動かし、すぐに状況を察した。

「つまり……相沢翔が現れて、美咲さんはお兄ちゃんを置いて彼に会いに行って、二人でロマンチックなディナー中、お兄ちゃんは一人で九条家に帰ってきて寂しくご飯食べてるってこと?」

そう言った直後、九条蓮の冷たい視線が彼女を射抜いた。

九条凛はビクッとして、すぐに口をつぐんだ。

「へへへ……ごめん、言い過ぎた……」とごまかし、話題を変えた。「美咲さん、あの人に会いに行ったけど、心配じゃないの?約束破られたり、裏切られたりしない?」

九条凛の言葉に、九条蓮の眉が深くひそまった。